エンジニアとして副業をするのは「アリ」?IT企業が語る実態

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副業が当たり前になった今、スキルを活かして稼ぎたいと考える方も多いのではないでしょうか。特に、専門性の高いエンジニアという職種は、副業の選択肢として魅力的だと感じるかもしれません。

しかし、実際にエンジニアとして副業で稼ぐことはできるのでしょうか?今回は、IT企業の見地からその実態と「なぜ難しいのか」を正直にお伝えします。

結論:副業エンジニアとして稼ぐのは極めて難しい

いきなり厳しい結論からで恐縮ですが、現状として副業でエンジニアとして継続的に稼ぐことは極めて難しいと言わざるを得ません。

なぜなら、中途半端な知識や経験しかないエンジニアを採用することは、企業側にとってコストがかかりすぎるからです。

大規模なシステム開発プロジェクトでは、多くのメンバーが有機的に連携しながら進んでいきます。そこに新しいメンバーが加わる場合、プロジェクトマネージャー(PM)は以下の対応に多くの時間と労力を割かなければなりません。

  • プロジェクト概要の理解:複雑なシステム全体を把握してもらうには、詳細な説明と質疑応答が不可欠です。
  • スキルの見極め:依頼したい業務に対して、本当にそのスキルがあるのかどうかを評価する必要があります。口頭だけでなく、実際にコードを書いてもらうなど、確認に時間がかかります。
  • バグ発生のリスク:もし不慣れなエンジニアがコードを書いた場合、システム全体に影響を及ぼすようなバグが発生するリスクもゼロではありません。その修正には、さらに多くの工数がかかります。
  • 進捗管理と調整:定期的な1on1での進捗確認や、他のメンバーとの連携調整もPMの重要な業務です。

このように、新しいメンバー(特に副業で限られた時間しかコミットできない方)を受け入れることは、採用側にとって非常に大きなコストとなるため、なかなか採用には結びつかないのが現状なのです。

プロジェクトマネージャーはなぜ副業エンジニアに慎重なのか

私たちはIT企業として日々様々なプロジェクトに携わっています。その中でプロジェクトマネージャー(PM)が最も重視するのは、プロジェクトのスムーズな進行と品質の担保です。

副業エンジニアの受け入れを検討する際、PMは以下のような葛藤を抱えます。

  • 「限られた時間でどこまでコミットしてもらえるのだろう?」
  • 「もし急なトラブルが発生した場合、すぐに対応できるだろうか?」
  • 「他のメンバーとの連携はスムーズにいくか?」

もちろん、副業であっても素晴らしいスキルと経験を持つエンジニアがいることは承知しています。しかし、そのスキルレベルを適切に判断し、プロジェクトに組み込むまでには、どうしてもPMの負担が大きくなってしまうのです。

高度なスキルを持つエンジニアはなぜ副業を選ばないのか

では、高いスキルと豊富な経験を持つエンジニアであれば副業で活躍できるかというと、話は少し変わってきます。

そういったレベルのエンジニアは、多くのIT企業が喉から手が出るほど欲している人材です。そのため、副業をするまでもなく、正社員として非常に高い給与で働くことが可能な場合がほとんどです。むしろ、プロジェクト全体を統括できるようなPMクラスのスキルがあれば、様々な企業から引く手数多で、副業を選ぶインセンティブは低いと言えるでしょう。

このような状況を考えると、現時点で「副業でエンジニアとして稼ぎたい」と考えている方の多くは、残念ながら企業が求めるレベルには達していないケースが多い、というのが正直な見解です。

それでも副業エンジニアとして稼ぐ選択肢:HTML/CSSコーディングの可能性

厳しい現実をお伝えしましたが、それでも「どうしてもエンジニアとして副業がしたい!」という方もいるでしょう。そういった方に唯一可能性が残されているのが、HTMLやCSSなどのマークアップ言語を使ったコーディング業務です。

これは、ウェブサイトの見た目を整える作業で、プロジェクト全体とは比較的独立した形で進められることが多いです。そのため、大規模なシステムに大きなバグを発生させるリスクが低いというメリットがあります。

  • HTML:ウェブページの骨組みを作る言語
  • CSS:ウェブページのデザイン(色、レイアウトなど)を指定する言語

もちろん、AIが進化している現代においても、可読性が高く、保守性の良いコードを書ける人材には一定のニーズがあります。特に、デザインカンプから忠実に再現できるスキルは重宝されるでしょう。

HTML/CSSコーディングの簡単チェックリスト

  • レスポンシブデザインに対応できるか?
  • SEOに配慮した構造でコーディングできるか?
  • クロスブラウザ対応は可能か?

HTML/CSSコーディングの落とし穴:単価とAIの台頭

しかし、HTML/CSSコーディングにも課題はあります。

最大の課題は単価が下がる傾向にあることです。比較的手軽に習得できる技術であるため、コーディングができる人材が市場に溢れています。そのため、競争が激しくなり、結果として1案件あたりの報酬や時給が安くなりがちです。下手をすると、普通のアルバイトと変わらない程度の時給になってしまうことも珍しくありません。

さらに、近年はAIの急速な進化も見逃せません。ChatGPTのようなAIツールを使えば、テキスト指示だけでHTMLやCSSのコードを自動生成できるようになってきています。今後、AIによるコード生成の精度が向上すれば、さらにHTML/CSSコーディングの単価は下がる可能性が高いでしょう。

まとめ:これからのエンジニア副業とAI時代を生き抜くために

エンジニアとして副業で稼ぐことの難しさ、そして一部の可能性についてIT企業の見地からお伝えしました。

現在の状況を見る限り、中途半端なスキルでエンジニアとして副業に参入するのは非常に困難です。もしあなたが本気でエンジニアとして副業を考えているのであれば、プロジェクト全体を動かせるほどの高いスキルを身につけるか、あるいはHTML/CSSのようなニッチな分野で圧倒的なスピードと品質を提供できるレベルを目指す必要があります。

また、AIの進化は今後もエンジニアの仕事に大きな影響を与えるでしょう。単なるコーディング作業はAIに置き換わり、より高度な設計や問題解決能力、コミュニケーション能力が求められる時代になります。

副業を考える際は、目先の報酬だけでなく、中長期的な視点で自身のスキルアップや市場価値向上に繋がるかどうかを慎重に考えることが重要です。

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